気がついたら、両腕を広げて落ちていた。


その先には、自分を底なしの絶望から救ってくれた人が、


(ユーリが)


遠慮なく、その広い胸の中に落ちる。


(ユーリの身体、とても温かい)


今まで感じたことのない心地よさ。


自分が今いるべき場所、いたいと思える場所。


「おかえり」


その一言で、思わず涙がこぼれる。


そっと瞳を閉じて、一言。


「…ただいま」


それで十分だと思った。





-----------------------------------
ザーフィアス城屋上。